医療用医薬品の品質
品質は”ものづくり”の命です。
”ものづくり”をお仕事としている方は、よくご存知とは思います。
食品でも、異物混入が起これば、同じ時期に同じ工場で作られた食品(ロット)は回収されることは、ニュースでも報じられます。
ドラマ化された「下町ロケット(池井戸潤)」でも、自社工場で作製した製品がロケットの部品として使われていることから、”ロケット品質”とアピールしています。
では、医薬品の品質は、どのように担保/管理されているのでしょうか?
当然ですが、異物混入という話になれば、問題のあるロットの回収は必須です。
これは聞いた話ですが、
「注射液の瓶とラベルシールの間に髪の毛が挟まっていたため、全回収になった」
と聞いたこともあります。
でも、僕がお伝えしたいのは、異物混入というレベルの品質管理の話ではありません。
医薬品は、基本的にはガイドラインの中の試験を全てクリアする必要があります。
試験をクリアした結果、どういう品質のものができ上がるかというと…
- 作られた有効成分は純度が99%以上
- 医薬品の錠剤や注射剤の中身は全て明らか(不純物までキッチリ特定)
- 十分な安定性
有効成分の純度の数値目標ないですが、一般的に99%以上といわれています。
仮に、有効成分以外の成分(不純物)が多いと、不純物が何種類あるのかを特定し、1種類ずつ性質を明らかにする必要があります。
例えば、
「有効成分はAという病気に効くけど、不純物は発がん性が高い」
ということでは元も子もありません。
安定性という観点では、使用期限や保存方法を決めるためでもありますが、
「有効成分Bは経年の変化によって、発がん性のある物質に変化する」
ということがあっても困ります。
ちなみに、医療用医薬品は、3年程度は使用期限を保証していることが多いです。
(種類によって違うので、詳しくは医薬品を購入した薬局の薬剤師に聞いて下さい。)
さらに、医薬品製造は1〜3の品質を継続的に維持するため、1度決めた製造方法/工程は国(厚労省)に提出し、遵守しなければなりません。
もし製造方法/工程の変更をする場合は、国(厚労省)と相談しなければなりません。
これを勝手に変えると、薬機法によって、製薬会社は罰せられます。
このように、かなり厳格なルールの中で医療用医薬品は作れています。