健康を硬派に考える(仮)

薬剤師免許・医学博士号をもち、製薬会社への勤務経験もあるアサカワイッペイが健康に対して、真剣に考えるブログ

医療用医薬品が発売されるまでの開発プロセス

 

医療用医薬品(以下、お薬)が発売までには、長い時間とたくさんの資金が必要です。

なぜか?

答えは簡単で、ヒトの健康はとても尊いものだからです。

(概念的ですが。)


そして、尊い健康のためには、安全で有効性が高いお薬が求められます。

お薬の安全性と有効性は、あらゆる面から調査されています。

それって、どうやって調査するの?というのは、意外と実生活でも聞かれる内容です。

 

ざっくりと概要だけ書くことにします。

お薬が発売されるまで、大きく分けて3種類のプロセスに分けることができます。

それは、以下の通りです。

  1. 品質や規格に関係すること
  2. 動物で安全性や有効性を確かめること(非臨床試験)
  3. ヒトで安全性や有効性を確かめること(臨床試験)

1〜3は、お薬を発売するのに必要な情報と定められており、国(厚労省)で開発のためのガイドラインもあります(ICH ガイドライン)。

www.pmda.go.jp

 

そして、得られたデータを、厚労省に提出し、OKが出れば新しいお薬を販売できることになります。

ちなみに、このプロセスは、日本・アメリカ・EUで、同じ基準で行われます。

資料のまとめ方も、日本・アメリカ・EUで同じ構成が要求されます。

それを専門用語で、CTD(Common Technical Document)と言います。

 

上記リンクの「開発ガイドライン」や「CTD」の構成を見ていただくとわかりますが、とにかく実施しなければならない試験が多いです。

しかも、

  • 試験の実施にあたり、その施設が医薬品開発に適した施設か
  • (ヒト・動物を扱うので)倫理上の問題はないか

などの確認も必要になります。

もし施設が基準に達しない施設なら、投資をして設備を整える必要があります。

倫理上でアウトな内容であれば、その時点で開発続行ができなくなります。

 

このようにヒトの尊い健康を守るため、厳格なルールの中で医薬品開発は進んでいきます。

その結果、長い時間と莫大な費用がかかってしまうのです。

 

 

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