国家財政と医療用医薬品
タイトルが壮大すぎますが……
医療用医薬品の研究開発について、製薬会社の財務の視点で考えました(こちら)。
前回、薬の価格(薬価)という視点で記事にしました(こちら)。
じゃあ、患者さんと国の負担はどうでしょう?
細かいことは後述しますが、医療用医薬品に関して言えば、
- 1.5兆円が患者負担
- 8.5兆円が税金負担
になっている計算です(筆者計算)。
医療費の支払い内訳
僕たちは、医療用医薬品を手に入れるとき、
- 診療費(@病院)
- 調剤技術料(@薬局)
- 薬剤料(=医療用医薬品の費用,@薬局)
を支払います。
しかし、この費用の全額を患者が支払っているわけではありません。
国民皆保険制度によって、大半は税金から支払われています。
ザックリいうと、
- 70歳未満は7割が
- 70〜74歳は8割が
- 75歳以上は9割が
税金で支払われています(こちら)。
つまり、多くの人が病院にいって薬をもらえばもらうほど、税金を使っているんです。
医療費と税金
では、どれくらい税金を使っているのでしょうか?
まず国家予算から考えてみましょう。
- 国の歳入(総収入)は98兆円
- 98兆円のうち、59兆円が税金、34兆円が公債(借金)
- 歳出(総支出)をみると、社会保障費(医療関係のメイン)は33兆円
こちらの5枚目のスライドがわかりやすいです。
次に医療費負担を見てみましょう。
- 医療費総額は45兆円
- 45兆円のうち、医師等の人件費が21兆円、医療用医薬品が10兆円
- その医療費の支払い内訳は、患者負担が6兆円、残り39兆円は税金負担
こちらの7枚目のスライドがわかりやすいです。
これらの数字から計算すると医療用医薬品に関して言えば、
- 1.5兆円が患者負担
- 8.5兆円が税金負担
になっている計算です(筆者計算)。
ちなみに、日本経済(GDP)は約600兆円です。
単純計算すると、医療関係の経済活動は7.5%になります。
又、医療用医薬品の規模から、製薬会社は日本経済の1.7%を占めていますね。
これからの医療…
ここまで書いた通り、医療に関する税金の負担額は、半端じゃないですね。
それだけお伝えできれば十分です。
今後、国はこの状況をどうしようとしているのでしょう?
医療用医薬品については、ジェネリック医薬品の普及に熱心に取り組んでいます。
国民には、健康寿命を延ばすこと、要は予防を推進しているのです。