製薬会社の財務 -研究開発費と売上高-
医療用医薬品開発には、時間とお金がかかって大変、ということを書いてきました。
しかし、僕のような当事者だった人間が、そんなこと言っても
「自画自賛/自虐/努力賞ちょうだい!」
と言っているようで、残念な告白にしかならないように感じてきました。
結局、時間とお金がかかると言っても、負担感は各社の財務状況で変わります。
今回は、国内の規模別に製薬会社の財務状況を、ザックリ比較してみます。
題材には、以下3社を選びました。
いずれも東証一部に上場していて、医療用医薬品を主な事業としています。
以下、各社の2017年度決算からの引用です(一部改)。
(百万円) | アステラス製薬 | 小野薬品 | キッセイ薬品 |
売上高 | 1,300,316 | 244,797 | 74,009 |
研究開発費(研開費) | 220,781 | 57,506 | 14,179 |
営業利益 | 268,698 | 72,284 | 9,887 |
純利益 | 204,326 | 56,036 | 9,045 |
研究開発費/売上高 | 17.0% | 23.5% | 19.2% |
開発品目数(P1以上) | 40品目 | 27品目 | 10品目 |
開発品あたりの研開費 | 5,520 | 2,130 | 1,418 |
アステラス製薬は他2社と異なり、大きな海外拠点があります。
そのため、海外の開発費用もかかるため、1品あたりに開発費も大きいと思われます。
小野薬品とキッセイは、国内開発がメインになります。
さらに、キッセイの場合は、他社との共同開発品目が多いため、1品あたりの開発費が抑えられていると思われます。
とはいえ、各社の研究開発費は20%前後と、とても高い数値いです。
一般的に製造業の売上高に占める研究開発費は5%程度といわれています。
他の業種に比べても、研究開発費が高いことは、客観的数値でも分かると思います。