ブラックジャックによろしく-医療現場のリアルな漫画-
動物実験のことを書いていたら、思いだした漫画があります。
「新・ブラックジャックによろしく」
医療現場をリアルに描いた漫画として話題になり、2000年代にはドラマ化されました。
医者の知人に聞くと、やはり今でもリアルと感じるようです。
概要は、研修医・斉藤が大学病院のさまざまな診療科で修行を積んでいく話です。
各診療科の中で、医療システムの矛盾・人の命について考えていきます。
斉藤先生は、かなり熱血で青臭い先生として、描かれています。
僕が「リアル」と書いたのは、斉藤先生の突飛な行動ではなく、あくまで医療システムとしてです。
2000年代に描かれているため、現在では古くなっている部分もあります。
ただ、それを差し引いても、面白いし、勉強になります。
「ブラックジャックによろしく」は以下リンクから無料で読めます(合法)。
「新・ブラックジャックによろしく」は、電子書籍ベースだと無料で読めます。
新ブラックジャックによろしく コミック 全9巻完結セット (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/30
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
「ブラックジャックによろしく」シリーズから、率直に思うのは、
- 医療現場で働く人間が、働く以前と以後で変わってしまう
- 医療現場で働く人間とそれ以外の人間の感覚が合わない
ことは、もはや仕方ないように思う、ということです。
医療を志す人、医療に関心がある人は、ぜひ読んでいただきたいシリーズです。
以下ネタバレを含みます。
通常、医師は医師免許取得後に、2年間の研修医システムを経て、正式な医師となります。
病院の研修システムは、2年間を
- 1つの診療科で過ごし、専門性を伸ばすケース
- 複数科をローテンションし、さまざまな経験を積むケース
にわかれます。
斉藤先生は、後者・複数科をローテンションしていきます。
彼が研修する診療科は、いずれもキツいと言われる診療科ばかり。
- 外科/循環器内科/NICU/小児科/癌医療/精神科/腎臓内科(移植)
各科での時事ネタを盛り込んでいます。
僕が印象に残っている部分をかいつまんで書くと……
NICU(新生児集中治療室)
未熟児かつダウン症で生まれた子供の命の扱い方について描かれます。
物語内で、その子は治療しなければ、命が尽きてしまうという設定です。
一方で、両親の意思で「NICUでの治療を継続しない」ということも可能です。
両親は、「障害を負い生きていく大変さ/不平等」と「我が子への愛」を天秤にかけ、治療継続について悩み、決断をしていきます。
永遠の課題であり、昨今は出生時前診断という選択肢も増えたため、当時よりも一層複雑な課題になっていると感じます。
精神科
精神病に対する社会の認知/理解度についてとり上げています。
漫画の中でも描かれている通り、
「精神疾患を患った人は、得体の知れない恐ろしい人」
というイメージが少なからずあります。
1990年代〜2000年代に起きた神戸連続児童殺傷事件や付属池田小事件が、その認知の引き金の1つになったことは間違いありません。
本編中も明らかに、付属池田小事件からエピソードが引用されています。
一方で、精神疾患を患った人は決して犯罪者素因があるわけではない、ということをデータも駆使しながら、丁寧に描いています。
今後の社会風潮の中で、心を病む人は増える可能性があり、やはり課題になり続ける内容と思います。
腎臓内科(移植)
1型糖尿病から腎移植が必要になった患者を描いています。
僕は、近い人間関係の中に、1型糖尿病患者がいるので、他人事とは思えませんでした。
腎臓に限らず、臓器移植は受け手(レシピエント)の身体を健康にします。
一方で、レシピエントは、臓器をもらったことを重荷に感じるようです。
これは、僕の中にはない視点でした。
例えば、僕と近しい彼が移植を受ける場合、彼はどのように感じるのか。
又、僕自身がドナーになりうる資格があったとき、どのように選択するのか。
とても心に迫ってくる内容でした。
以上です。