動物実験への規制
動物を使った試験(動物試験)は、何かと物議を醸します。
動物の命を(ある意味で)生み出し、試験のために奪う行為です。
それにより、研究者は尊い試験データを得ますが、動物愛護を主張する方々から厳しい指摘や抗議を受けることがあります。
僕は、大学院生時代と製薬会社入社当初の数年間は、動物試験をしていました。
動物試験の実施前には、ガイドラインに従った講義を受けます。
これにより、
- 動物試験を減らすこと(代替方法を探すこと)
- 動物試験を実施する場合は使用頭数を減らすこと
- 動物に可能な限り苦痛を与えないこと
が求められます。
ガイドラインや法規ができたことで、以前は動物試験に使用していた麻酔薬も、動物が苦しむ可能性があるため、使用禁止になったケースがあると聞いています。
動物愛護に関しては、先進国はそれぞれ一定の基準があります。
その中でも厳しいのは、イギリスと聞いたことがあります。
日本では、動物試験の実施に伴う講義は、年に1〜2度、1日がかりの講義を受けることで、動物試験をする資格を得られます。
(少なくとも僕が当時所属していた機関では……)
一方、イギリスでは法律でライセンス取得が定められています。
イギリスでのライセンス取得期間(許可が下りるまで)は、約半年かかることもあるそうです。
「研究者としてイギリスに1年間の留学したが、半年間は動物取扱のライセンスをとるために費やし、結局何もデータを得られずに1年後に帰国した」
という話も聞いたことがあります。
動物試験は、厳しい指摘を受けることもありますが、ヒトの健康のため、一定の規制の中で実施されているという状況を共有したいと思います。
(ヒトと動物の命については、議論は尽きないと思います。)